講演 「20世紀の科学技術を顧みて」

                         田尾一彦氏(元電波研所長)

平成13年4月25日 (木) 14時〜16時  通信総合研究所 中会議室 出席者12名

講師は、放送文化研、NHK技研の要職も務められた。

先ず、20世紀における主要な発見と発明について9頁の資料を紹介いただいた。ノーベ ル物理学賞、化学賞、医学、生理学賞のカラーマーカーが付けられており、主要な出来 事の対比もされている。そして、主要な歴史の流れを説明いただいた上で、物理、化学 分野における発見と生物、医学分野における発見を年代を追ってつながりなどを解説い ただいた。

後半は21世紀への科学技術の展望として、以下のような説明をいただいた。

1) エネルギー分野・・核分裂を利用した原子力発電の事故予防策、核融合を利用する 原子力発電の長期開発、衛星による太陽光発電の大規模開発があろう。

2) 交通ならびに宇宙開発・・自動車は、燃料電池自動車で化石燃料から水素燃料への シフトが期待されている。鉄道輸送では、超電導リニアモーターカーが期待され人間工 学的な研究も必要であろう。宇宙開発では、国際宇宙ステーションの建設があり、宇宙 旅行や長期滞在が可能になろう。

3) ヒトゲノム解析および医療技術・・ヒトゲノム解析が進むと、遺伝子診断や遺伝子 治療も可能になることが期待されるが、生命倫理的な問題や人権侵害につながる可能性 もあり、慎重な対処が必要。医療はコンピューターとの連動によってMRIや超音波等よる 画像診断が二次元画像から三次元画像へ進み、大脳や身体内部の疾患等の検出も容易に できるようになるであろう。癌の放射線治療には重粒子線や陽子線が取り入れられよう。

4) 情報通信関係・・情報機器がインタラクティブになり、広く普及するためには単純化 された機能にする必要がある。通信と放送の融合化も行われ、放送のデジタル化により 情報の多様化が進むであろう。

全体的には21世紀には情報通信や生命科学は著しく発展しよう、環境重視という面からは かなりのブレーキがかかろう。自然とを調和するような科学技術が21世紀には必要になる であろうとのことであった。       (後藤昭夫 記)

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