講演 「日本的品質管理の特徴」

                         保田襄似氏(元福井工大教授)

平成13年6月27日 (木) 14時〜16時  通信総合研究所 中会議室 出席者9名

講師は、電波研からNECに移られ、その後福井工大で教鞭を執られたとのことだった。

同大学で1988年発表の論文「米国に現地進出したテレビ産業が実証する日本的品質管理 の優秀性」の別刷をいただいた。

最初にQCの歴史を、特に日本国内の動きに注目して解説された。日本での第一歩は、 GHQが開催させた1946年のQC講習会であった。次の段階では、日本科学技術連盟(日科 技連)、日本規格協会並びに日本能率協会がQCの普及や推進にあたり、特に日科技連の 果たした役割は絶大なものであった。

デミング賞、JIS表示制度についても言及され、日本人の精神構造に触れながら、TQC (Total Quality Control)への進展まで説明された。それは、日本式TQCで元来のものと 区別されている。

次に、日本式TQCの特徴を箇条書きで要約されたのを紹介いただいた。11条に書かれて いたが、如何にもと思ったのは次のものなどであった。E日本の場合全員がTQCの要員 である。(途中略)QCサークルという日本独自の機構があるので、全員の能力は最大限に 活用できる。JTQCの真髄は「カイゼン」にある。そして、「カイゼン」と「イノベー ション」の違いの説明資料を添付いただいた。

更に、日本人にぴったりのQCサークルを、活動内容を列挙し説明された。

そして、TQCの裏にあるものとして、一つは日本型の労務管理、他の一つは宗教を連想 するとして「日本には仏教、神道とカイゼンの三つの宗教がある」とか「TQCは一種の 宗教なんだな」との文献にある言葉を紹介された。

いただいた資料は、前記論文とは別に現時点で引用掲示されている12件の論文を調査 されて書かれた講演題目と同じ労作と思えた。その論文のまとめとしても、日本型の 労務管理そのものが時代に合わないと見直されつつあり、それを土台にした日本式TQC が見直しを迫られつつある。TQCからTQM(Total Quality Management)へ変えられた、 そのあるべき姿を見極めていきたい、と結ばれた。    (後藤昭夫 記)

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