講演 「安全に関する制御システム」

                         佐藤国仁氏(技術士会会員・機械)

平成13年7月25日 (水) 18時〜20時  電気技術開発 岩田ビル会議室 出席者12名

講師は、99/2に独立され、機会システム、安全技術を専門とされ、技術士試験受験指導 もされ、ウエブページを設置して活躍されておられる。

最初に、日本と英国の労働災害件数の比較を示され、労働者数比の災害件数が似たレベル にありながら、同比の死亡者数では日本が4倍高いことの指摘をされ、国際安全規格を 取入れて対応せざるを得なくなっていると指摘された。

次に、欧州の安全技術整合化と規格へのアプローチ法、機械指令を始めとした欧州規格、 国際規格、各国規格の関係並びに国際規格の階層構造の説明をいただいた。

安全機械の考え方として、機器の信頼性によって機械設備全体の安全を維持しようとす る確率的な安全システムと、機器の信頼性によらず機械の構造、構成によって安全を 構築する確定的な安全システムを図等により比較解説をいただいた。

確定的な安全システムを、一般的に構築する方法として、ロック付点検蓋と回転ゼロセ ンサによるインターロックシステムと、電子レンジに採用されている機能省略型イン ターロックシステムを示された。

機械設備の設計においてしなければならないリスクアセスメントについて説明いただい た。その順は、使用及び予見可能な誤使用の明確化、危険源の同定、リスクの見積り、 リスクの評価であるが、リスクの見積り結果に対して安全方策の種別が4つの段階の安全 システムが提案されているとのことである。

既にある機械を安全にすると能率が下がる。安全は遅い、金がかかると、従来見られて いたが、欧州では安全は儲かると、第3者認証機関ができているレベルへ進んでいる。 日本は遅れているとの指摘であった。

いただいた「技術士」7月号の記事「新世紀を拓く、機械安全技術」の表現では、安全 技術は発展の過度期にあり、新しい法体系、保険の算定基準が定まれば、安全業務の多 くがルーチン作業に変っていくであろう、との指摘が卓見のように思われた。      (後藤昭夫 記)

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