講演 「暮らしとリスク」

                     村主 進氏 (原子力システム研究懇話会)

平成14年2月27日 (水) 14時〜16時 通信総合研究所 本館TV会議室 出席者11名

リスクとは「損害を受けるおそれ」を言う。
リスクの評価は、権威あるデータベースを基にして、過去の損害と同じ大きさの損害 が将来も起こると考えて評価する。できれば、将来の技術の動向または制度の改廃に よって増減するリスクを適当な方法によって補正する。
リスクが話題になる分野は、政治生命、経済問題、健康の各々に関する分野があり、 健康に関する分野には、病気になるリスクと生命を失うリスクがある、との導入説明 であった。

生命を失うリスクの表わし方には、@10万人あたりの年間死亡者数、A10万人あたり の平均寿命年数の期間での死亡者数、B平均寿命年数の期間での死亡確率(過剰死亡確率)、 C寿命の損失(短縮)の尺度、がある。
寿命の損失の尺度には次のような長所がある。@年少者が生命を失うのと老年者が生命 を失うのとはその重みが異なるが、これを勘案できる。A生命表の平均寿命の統計と 直接対比できる。B自動車事故、兵庫県南部地震、放射線被爆のような考察する時間間隔 が異なるものでも平均的な生涯の期間で比較することができる。との評価法の説明を いただき、日本人男子の生存数曲線を紹介いただいた。
更に、世界各国の平均寿命とエネルギー消費量のグラフを説明いただいたが、エネルギー 消費量の高い国々の平均寿命が長いのは、地球環境問題上考えさせられるものであった。

種々のリスク及び過去の災害について紹介いただいたが寿命の損失は以下のとおりである。
@鉱業に従事(男子) 1,900日A林業に従事(男子) 1,100日B漁業に従事(男子)700日 C農業に従事(男子)500日D不慮の事故及び天災340日E自動車事故130日F1988年の インフルエンザ120日G原子力発電所の大事故に遭遇50日H兵庫県南部地震31日I原子力 発電所の大事故0.04日

納得行かない感じが残ったが、会場の都合で質疑はほとんどできず終えた。   (後藤昭夫 記)

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