講演 「e-Japan戦略の動向」

                     高橋 巌氏 (日本アイ・ビー・エム(株))

平成14年3月27日 (水) 18時〜20時 電気技術開発株式会社JRビル会議室 出席者21名

ITを挺子にした国づくりが世界各国で競うように進められている。e-Govemmentと称さ れる戦略でElectronic Commerceに次ぐIT革命の二番手とも言われる。今回は世界各国 の動向とも比較したe-Jpapanについての現状と将来像について講演が行われた。

米国における電子政府の起源は1993年3月クリントン大統領により打ち出されたNPR (ナショナルパフォーマンスレビュー)である。基本方針として@形式主義の排除、 A「顧客」優先、B職員の活性化(権限付与)、C小さくて効率的な政府が掲げられた。

e-Japan戦略の基本理念はIT革命の歴史的意義を踏まえIT革命が産業革命に匹敵する 歴史的大転換を社会にもたらすことを想定し新しい国家基盤の早急なる確立を目指 したものである。国際社会から見た日本のIT革命への遅れとして、地域通信市場の 独占による高い通信料金等に焦点が当てられている。

e-Japan戦略における電子政府の目的は@経済再生、A地域社会の活性化、B知的社 会の創出であり、その施策として@ブロードバンド、A経済構造改革、BIT人材育成、 C電子政府・電子自治体がある。

「行政手続きの電子化に関する通則法案」が今国会で審議され、窓口業務の電子化 は行われる。しかし、表面的な部分が電子化されても行政の内部プロセスに対し着 手されていないため行政処理のスリム化はすぐには望めそうにない。

世界各国政府共通の達成課題として@経済活性化・財政再建、A縦割り社会の弊害、 B少子高齢化、C国際競争力がある。やはり成長ムードを醸し出し、変化への恐怖 を和らげ、創造へと導く、全てを出来るのは政府であり行政。そういう意味で政府 はIT革命の中核プレーヤーである。

電子政府の将来像として2003年は情報共有が即時・双方向で行われ、21世紀に相応 しい新しい社会システムが誕生すると考える。IT革命を支えるキーテクノロジとし てブロードバンドを挙げ、ブロードバンドが企業内ビジネスの・プロセスの連携・ 統合を加速し、アンバンドリング・リバンドリングといった企業間統合を可能にす ると考えて、行政についても同じであると将来像が語られた。

                                   (延原光一 記)

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