講演 「ユーザインタフェースにおけるバリアフリーの動向」
        ―コンピュータ・電子機器を中心としてー


               安田 晃氏(技術士会会員 情報工学、電気・電子、総合技術監理)

平成14年5月22日 (水) 18時〜20時 電気技術開発株式会社JRビル会議室 出席者15名

講師が、このようなことに関心を持ったきっかけは全盲の人からメールを貰ったこ とだったとのこと。

最初に、バリアフリーとユニバーサルデザインについて説明いただいた。世の中の 仕組みが健常者を想定して作られているのと、障害者、高齢者も想定して作られて いるのは、社会の発展具合にかなりの差があるような印象を受けた。ユニバーサル デザインの製品は、共用品推進機構がインターネットで紹介している。

米国のリハビリテーション法508条には、障害者が他の公衆と同程度に連邦政府・ 機関からの情報・データへのアクセスを可能とすることを目的として、コンピュー タの入出力機能や文書の電子化が規定されている。(1998年改正、2001年夏施行)

次に、トロンイネーブルウェアについて説明いただいた。トロンプロジェクトでは 高齢者・障害者をサポートする機能をコンピュータの基本機能の中に標準的に取り 込み、市販のソフトウェア、ハードウェアの改造を最小限に抑え、障害者のコンピ ュータ利用を促進するためトロンイネーブルウェア仕様を策定している。また、 その普及活動や障害者の生活向上、社会参加をサポートするための活動をトロンイ ネーブルウェア研究会として行っている。

作成中のアクセシブルデザイン事典の内容構成、内容例として障害者を支援する入 出力技術、聴覚表示と視覚表示を用いる条件などを紹介いただいた。

ユーザインタフェース改善の研究やバリアフリー設計のため、VR(Virtual Reality) 技術が使われる。ルームナビというインターネット上に公開されている間取り設計、 家具配置を三次元体験できるデモを紹介していただいた。

資料として、ユニバーサルデザイン規格類関連と、内外関連団体活動状況のリスト 4頁をいただいた。

社会生活で多くのコンピュータ内蔵の機器に出くわし、健常者でも使い勝手の良く ない印象を受けることが良くある。障害者もやさしく使えるようにするためのユニ バーサルデザイン思想の普及に時間がかかりそうに感じた。
                                   (後藤昭夫 記)

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