講演 「情報化資源調達の実際」
―情報化資源調達における仕様書・評価項目の技術的課題―
延原光一(会員、情報工学)
平成15年 3月12日 (水) 18時〜20時 電気技術開発株式会社JRビル会議室 出席者10名
IT革命の名前に代表されるように、様々な業種・分
野でIT技術が利用されている。今回はITを専門としな
い技術者が、業務で情報システムを調達する際に必要
な知識として情報化調達の特徴と情報化調達の問題点
について講演が行われた。
情報化資源調達とは、戦略の実現に向け、制約条件
の元で最大の投資効果が期待される方法(ハード・ソ
フト等のプロダクト、情報システムの構築業者、アウ
トソーシング先等)の選択評価を行い、最適なソリュー
ションを適正な価格で適正な時期に獲得することであ
る。
情報化戦略の成果物として提案依頼書が作成され、
その結果としてベンダー選定が行われている。
ベンダー選定は、@随意契約、A見積もり合わせ、
B入札のいずれかによって行われている。政府や自治
体を中心に情報化調達を入札によりベンダー選定が行
われているが、最近安値入札が新聞等で問題視されて
いる。入札制度は建設業界では古くから行われている
が、建設業界では談合という問題点を抱えている。
同じ入札制度で建設業とIT業界が抱える問題が異な
る理由は、IT産業の成果物であるソフトウエアがほぼ
無償に近い配布コストであることに起因する。
情報化調達では安値入札に対し、総合評価点を価格
点で技術点を除算する方式から、価格点と技術点の満
点が同じ比率とし、価格点と技術点を加算する加算方
式を採用することを進めている。また、価格評価を情
報化のライフサイクルベースで評価することで次年度
からの随意契約時に適正価格以上の高額な契約となる
リスクに備えることとしている。
加算方式は安値入札に対抗する効果的な手法である
が除算方式に比べ、調達前に入札予想価格を厳密に予
想する必要があり、情報化資源の性能向上はムーアの
法則に代表されるように急激なため高い専門能力が、
入札仕様書策定時に要求されることが課題である。
最後に加算方式を利用する場合の提案依頼書作成の
ポイントについて説明が行い、現在の情報化資源調達
において捉えるべき要求の項目と概要について説明を
行った。 (延原光一 記)