講演
「CATVの側面(課題)」
(日本CATV技術協会)
箱石千代彦氏
平成11年12月7日 (火) 14時〜16時 通信総合研究所
出席者8名。
講師は、郵政省、通信総合研究所で要職を歴任され、現在日本CATV技術協会の副理事長を
勤められておられる。
「日米ケーブル技術者の比較」との題目の資料を配布されて、技術者の活性化に心を砕い
ておられるとのことで意見交換したいと始められた。
先ず、背景となる市場を、CATVカバー世帯数が、日/米で1800万/9600万、利用世帯が、
790万/6600万、有料チャネル受信世帯が、300万/4800万と推定値も入れて紹介された。
日米のCATV関係技術者数は、共に1万数千人で似ているが、質的には米国にデータ通信
をカバーする資格試験科目があるのに日本には無いこと、米国のケーブル通信技術者協
会に倫理規定があるのに日本には無いこと。その他、学会等発表の場や顕彰制度の違い、
活躍分野として、オペレータ、メーカ、ベンダの他にコンサルタントが米国にあるのに
日本に無いこと等の説明があった。そして、米国では、技術者のトップが高い地位にあ
る、との見方が紹介された。
質疑は、各種のものが活発に出された。印象に残ったのは、以下のような議論であった。
日本は共聴で始まったシステムが、町の電気屋の保守に任され、放置されている状況が
あり、今後のディジタル化やインターネット接続等ニーズ発掘がされていないのではな
いか。特に都市部で、CATVの普及が必要ではないか。
日本には、技術問題も公然と議論しない傾向があるのではないか。
この分野に限らず、日本の技術者には、特許の権利を与える等のインセンティブが低い
のではないか。
会場の都合で、時間が限られ、更に議論が盛上がりそうに思われ心残りながら、終えざ
るを得なかった。後日、講師は貴重なコメントを沢山戴き喜んでおられたと伝えられ、
ほっとした次第である。 (文責:後藤昭夫)