講演
「日本の宇宙開発を考える」
小野英男氏
(技術士/航空・宇宙部門)
平成12年1月19日 (水) 18時〜20時 電気技術開発(株)JRビル会議室 出席者18名
小野英男氏は、日本の宇宙開発の草分け的な存在で、NECに於いて東大宇宙研、
宇宙開発事業団等の初期の国産衛星の開発に大きく貢献された。日本アマチュア無線
連盟技術研究所長を経て、現在も大学で教鞭を。
講演では、興味深いスライドを用意され、以下のレジメに従って説明して頂いた。
1.宇宙開発の歴史
1957年、ソ連「スプートニク」打ち上げで宇宙開発の歴史が始まった。69年に
は米国「アポロ11号」人類初の月面着陸。81年には「スペースシャトル」実現。
2.宇宙の利用と産業化
1965年のインテルサットは宇宙利用の始まりで、通信衛星、放送衛星が産業化さ
れた。しかし、気象・地球観測、無重力利用などは、利用は進んでいるが、産業化に
至っていない。
3.宇宙開発に関わる話題
5200個の衛星が打ち上げられた。CIS3100、米国1600、日本81
(世界4位)。宇宙技術の発達、無重力と生体、衛星の価格、電波の遅さ等。
4.宇宙開発の方向
国家主導の軍事・政治目的の時代は過ぎ、産業ベース、国際協力の時代に。低価格・
安全・即時的な輸送手段がカギ。産業化は、21世紀中頃か。
5.日本の宇宙開発の歴史と課題
唯一の純粋平和目的。世界から10年遅れてスタートしたが、衛星打ち上げは世界で
4番目、打ち上げ数でも4番目、宇宙飛行士も4名実現、科学分野では世界一流に。
実利用分野では、コスト高から苦戦。
課題は、「新しい宇宙産業形態への体制強化」、「国際的に貢献できる技術の開発」等。
「Asian Space Agency」を提案。
(渡邊一郎 記)