講演
「最近の衛星利用の測位方式と2,3の応用」(衛星航法の歩みーGPSの現状)
柘植茂二氏(会員:電気・電子)
平成12年3月8日 (水) 18時〜20時 電気技術開発(株)JRビル会議室 出席者18名
衛星測位のあゆみを交えGPS、GLONASSの性能比較とGPS+GLONASSによる測位精度の向
上、GPSを応用したアプリケーションなどについて講演を行って頂いた。
はじめにGPSとGLONASSの性能対及びこれからの方向性として近代化の説明があった。
また、EU(欧州連合)とESA(欧州宇宙機関)が計画しているGNSSについて資料を交
えた説明が行われた。
GLONASSの特徴はSA(Selective Avilability)を使用していないため精度が高いこと
が特徴である。しかし、GLONASSの寿命は約3年半であり安定した衛星数の確保に関
しては旧ロシアの情勢が絡み不安な点が多い。講師はインターネット上から入手し
たGLONASSの数と活動状況資料を示し説明が行われた。
GPS+GLONASS受信機はGLONASSの特徴に加え、測定点としてGLONASSを加えることで
瞬間に衛星が14個見える確率が25%ある。大抵の場合は10個以上見えるので測位精
度向上の意味で現時点でも利用価値がある。
GPS+GLONASS受信機の応用例として「GPS+GLONASS C/A受信機を用いたcm精度のRTK
測位」に関して詳細なデータを交えた説明が行われた。アプリケーションとしては
「NR-N124型(GPS+GLONASSを結合した)船舶用航法装置」の説明が行われた。
GPS測位の機能分散システムとしては中波ビーコンによるDGPS、FM多重放送DGPSシ
ステムの説明がされた。また、DGPSの応用アプリケーションとして視覚障害者用
位置案内(RTK-GPS)の紹介がされた。
GSPの変わった利用法として、気象観測への応用が挙げられ、従来気象観測に用
いているラジオゾンデと同等の精度をGSPを利用したシステムによって得られる話
がされた。GPSによる観測方法の特徴として、@ラジオゾンデでは高価なため一日
2回程度しか観測できない水蒸気量を安価に常時提供し、水蒸気総量から豪雨等の
降雨地域を含めた事前予測が可能A天候に左右されない測定が可能との報告があ
った。(延原光一記)