講演
「原子力発電所の計算機の機能・役割」
犬伏裕之氏(会員・情報工学)
平成11年1月25(月)18時から20時、電気技術開発JR外神田ビル会議室、出席者16名。
講師は、電機メーカで原子力プラント向け計算機システムの設計に従事し、現在は火力プラントの計装業務に携わっている。
1、原子力発電所の概要
BWRは軽水炉型原子力発電所の一型式で、原子炉の中で水を直接加熱蒸発させる直接的な蒸気発生方式をとっている。発生した70kg/cm2の蒸気が高圧、低圧タービン発電機を回し発電し、タービンから出た蒸気は復水器を通し原子炉に戻される。
2、原子力発電所用計算機の概要
原子力発電所の安全かつ安定な運転を維持するため、中央制御室に適切なマンマシンシステムの運転監視システムが構築されている。PODIA TM (Plant Operation by displyed Informaiton and Automation)は、計算機の持つ情報処理機能を十分活用し、プラントのプロセス情報をカラーCRT上に集約表示し、より効果的な運転監視を行うこと、およびプラント運転操作の自動化を基本機能としている。
また1987年当時、発電分野としては最初の本格的なタッチオペレーションシステムが放射性廃棄物処理設備上に開発・適用された。氏自身が開発した部分について、マンマシンの考え方や、伝送遅れがある場
合の調節計の設定値セット方式について説明がなされた。
3、ABWR向け監視制御システム
BWRの建設、運転、保守の経験と、これまで蓄積された技術を結集し開発されたシステムが改良型BWR(ABWR)である。このABWR型中央制御盤がA−PODIA(Advanced-)と言われるもので、PODIAの設計と運転実績を基に、エレクトロニクス分野の技術進歩を背景に、より適切なマンマシン機能分担の適正化と異常早期発見・回復を計るべく開発された。このシステムは、デジタル技術、光通信技術、マ
イクロエレクトロニクス技術をフルに活用した総合デジタル技術システムが開発され、高信頼性と経済性を実現した。
(文責:川村忠男)