講演
「米国防総省空軍科学技術局の目指すもの」
宮崎隆雄氏(会員:電気・電子)
平成13年3月28日 (水) 18時〜20時 電気技術開発(株), 出席者12名
講師は、前企業勤務時に米空軍研究所(AFRL)の客員研究員を務めたことから題目技術
局(AFOSR)下のアジア宇宙航空研究開発事務所(AOARD)勤務になったとのことだった。
最初に、AFRLの組織、その支援機関としてのAFOSR、その二つの海外事務所の内の一つ
のAOARDの概要を説明していただいた。
AFOSRは、研究企画が主業務で、優れた適切な外部の機関との協力関係を築くビジョン
を持っている。
日本と違い、国防総省が基礎科学を管轄していることからAFOSRはハイリスクで高収益
のものに投資をする、基礎研究、開発研究、実用化研究の柔軟な統合化、民間を含めた
外部の機関の活用等、新鮮な政策に聞こえた。
AOARDの活動は、@委託研究の管理、Aリエゾン、B技術評価と報告、に分類されるが、
日本人が少ないことから関係者の来日に対するツアーコンダクタのような仕事も結構
あるとのことだった。
講師が関係した研究テーマの例として、@オゾン対策、防爆対応のガソリン添加剤、
A赤外線による脳のリアルタイム観測、B群衛星技術を紹介いただいた。
日本に注目する技術分野としては、マイクロ及びナノシステム、ロボット、ディスプレイ、
センサー及びリモートセンシング、コンピュータ科学及び同技術、生産技術、新電池技術
とのことである。
定年制が無い、公務員でも人員移動がある等日本社会と異なる、しかも軍の組織でありな
がらほとんど情報が公開されている等興味を引く点が多かった。印象的だったのは、組織
にこだわらず有用な研究開発に寄与しようとの強い方針で、AFRLがノーベル賞研究者約40人
を支援したとの実績を掲げている点であった。
(後藤昭夫 記)