講演 「地方自治体における個人情報保護」
      ―住基ネット接続によるリスク―
               三浦 大像氏(会員、電気・電子、総合技術監理)

平成15年 1月22日 (水) 18時〜20時 電気技術開発株式会社JRビル会議室 出席者20名

 1. 地方自治体における個人情報保護の経緯
地方自治体における個人情報例として、住民票、戸籍謄抄本等各種住民サービスに使われている 個人情報の種類の一覧とセンシティブな情報として何が有るかの説明があった。

世界的な流れとして、1970年の米国での公正信用報告法の制定が、欧州、米国でのデータ保護法 へとつながり、更に個人データ保護の諸国間流通調整のためOECD勧告「プライバシー保護と個人 データの国際流通に関するガイドライン」の採択となった。この勧告の8原則が我国の地方行政 にも影響を与えた。

1982年、行政管理庁プライバシー保護研究会の「個人テータの処理に伴うプライバシー保護対策」 が、春日市や川崎市の「個人情報保護条例」へ、更に中野区の「個人情報の保護に関する条例」 へとつながっている。

国レベルでは、1988年の「行政機関個人情報保護法」制定から、住基ネット稼働に対する同法改 正案は継続審議になっている。

 2. 地方自治体における個人情報保護条例の要約
目的、定義、責務、制度の運営、個人情報の収集及び管理、適正管理の原則、適正利用の原則、 自己情報の開示等の請求、救済手続等について説明があった。

情報技術セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度に対して、関連規格制定動向、考え方が 品質管理などと同じPDCAサイクルによるスパイラルアップ方式になっていること、認証基準の内容、 制度の運用体制が紹介された。リスク・クライシスマネジメントについてもその内容、考え方が紹介 された。

 3. 活動概要
個人情報保護審議会での活動について説明があった。

 4. 課題
個人情報保護基本法の成立による従来法、条例の見直しとなろう。
個人情報保護条例の改正として、記録媒体の明確化、受託者等の責務の追加、存在応答の拒否、 電磁的記録の開示方法の拡大がある。
住基ネット接続に対する条例上の対応の課題もある。

 5. 住基ネット接続のリスク
住民情報の歴史的概観、システムの概要、個人情報保護策/セキュリティ防護、地方自治体の 対応等について説明があり、結論として、住基ネット接続によってクローズアップした地方自 治体の個人情報保護/情報セキュリティ防護の貧弱さが問題とのことだった。      (後藤昭夫 記)

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