講演 「地理情報システムの新しい展開」
奥田孝之氏(会員・情報工学)
平成11年7月7日(水)18時30分から20時、電気技術開発(株)、出席者21名。
講師は現在、通産省・次世代GIS(地理情報システム)モデル事業に携わって
おり、高齢社会への対応として介護福祉業務の効率化による対応能力増強、介護関係
者への的確な介護情報提供をめざすため、地域医療・介護支援GIS開発を行っている。
今回はこれらの事例を含めたGISの概要・動向について講演があった。
地図というと旅行の計画するときなど昔から日常的に利用されている情報である
が、空間−位置情報をデジタル化し統合することで、施設管理・都市計画・防災な
ど管理の道具として、近年はマーケティング・医療福祉・流通など人間行動・意思
決定支援にも利用されている。
地図をデジタル化することのメリットとして例えば災害の被害個所と現在の地図
情報、過去の土地利用情報を重ね合わせて解析することによって、デジタル化に新
たな発見を容易に行うことができる。また、地図データの再利用も可能になる。
地域医療・介護支援GISはコンセプトとして@福祉サービスの情報提供と電子的
な申し込みA地域における経済性を考慮した高速ネットワークを用いて双方通信の
利用を目指ている。また、GISに関する機能に加えGPSによる現在位置把握、GISと
ケアマネジメント機能の連動による利用者情報と位置情報の連動や地域ごとの集計、
利用者の地域特性の把握、緊急連絡先の所在位置の情報取得、巡回業務の効率的な
運用など各種の利用方法が可能となる。
介護支援に用いるGPSの選定に関しては、介護支援者が持ち運ぶことから、小型
・軽量・低価格が要求される。現時点ではD-GPSを採用していない。またPHSによる
位置把握も実用的精度を含め、今後検討していきたいと語られていた。
今後の動向として、G-XMLの実用化、空間の3次元に時間軸を加えた4次元GISの
話題がある。地図データの流通に関しては、現在互換性がほとんど考慮されていな
いが、今後はISOなどの標準化に基づく互換性の確保も期待できると語られていた。
(延原光一 記)